白夜行 第10話


「本当の罰は、心と記憶に下されると、伝えてください。飲み込んだ罪は魂を蝕み、やがて、その体さえ、命さえ食い尽くす。」
礼子(八千草薫)を殺害した亮司(山田孝之)は、図書館の掲示板に匿名の遺言を残す。
礼子は、病院側が医療ミス(と思い込んでいる)を隠すために病死ということで処理された。
笹垣(武田鉄也)は、亮司母・弥生子(麻生裕未)から図書館の掲示板のメッセージを知る。図書館を訪れた笹垣は、亮司と雪穂の図書館での出来事を知る。このことで、笹垣の頭の中に、亮司の父親殺害の画面がはっきりと映し出されていた。
「やめい!」
思わずそう叫んだ笹垣は、涙を抑えた。


「あの子はまだダクトの中にいる、押し込めたのは私、そんな人生しかあげられなくて、ごめん」
弥生子はそう遺言を残して、手首を切って自殺した。
亮司は典子(西田尚美)の愛情に触れ、すべてを話してしまいたい衝動に駆られる。だが、雪穂との関係を壊すわけにはいかない、と、かねてからの計画を実行に移すことにした。それは、笹垣を殺害して、自分も死ぬことである。そうすることで、雪穂の明るい未来だけは保障しようとしたのだ。
葬儀に訪れた篠塚(柏原 崇)は、雪穂と語らった。俺たちは、似たもの同士である、と。篠塚は雪穂を自首させるべく、雪穂の懐に飛び込むことを決める。


亮司は、留守中の笹垣の部屋に忍び込み、トイレにガスを発生させてふたを閉めた。部屋を出て行こうとする亮司の目に飛び込んできたのは、弥生子のお骨と遺言だった。さらに亮司は、笹垣のノートを見つける。
「すげぇ!」
ノートを読み進める亮司は、笹垣がいかに緻密に自分たちを把握していたか、感嘆する。幽霊だと思っていた自分の人生を、これほどまで気にかけていた人間がいたとは。亮司は感動して泣いた。
亮司は計画を変更、トイレのガスを抜いた。そこへ笹垣が帰ってくる。


今回は、前回から考えていた問題。二人にはもう同情の余地はない、ということの回答がありましたね。
11歳の子供に罪はない。自分を含めて、大人の責任ではないか?という図書館のおばさん真文(余貴美子)に対し、笹垣はこう言います。
「あいつらに同情することは、何一つありません。」「人殺す知恵あるのに、自首する知恵がない筈がない。人騙す計算できるのに、人の人生が想像できないはずがない。」「妙な誤解してはあきまへんで」と。
といいつつ笹垣も、自責の念はあった。「自分があの時捕まえてあげていれば」という悔いである。
「あいつらぎりぎりのところでバケモノにせえへんかったのは、あなたの言葉(「本当の罰は、心と記憶に下される」)のおかげですわ。もうそれで十分ですわ。」
そうですね。ダメな大人のために、こうなってしまった亮司と雪穂ですが、彼らをぎりぎりのところで救っているのも、また大人たちなんですね。現代の大人のモラルを厳しく問いかけていました。


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