サイケデリック・ロック覚書


三省堂スーパー大辞林」で「サイケデリック」を引くと、「LSDなどの幻覚剤によって起こる幻覚や心理的恍惚状態に似た様。」とあり、また、「サイケデリックサウンド」と引くと、「マリファナやLSDなどの麻薬によって起きる幻覚症状を表現した音楽。1960年代のヒッピー文化を特徴づける音楽スタイル。」とあります。さて、これだけ見ると何か危険な、犯罪的な匂いすらしてきます。実際サイケデリック・ロックの代表的ミュージシャンにはドラッグやアルコールの多用による死亡例が多くあります。でも、私たちになじみの深いビートルズサイケデリックでした。さて、サイケデリックって一体なんだったのでしょうか?


私は幸か不幸か同時代ではないのですが、この時代のロックが好きです。10代なかばでドアーズを聞いた時のトラウマなんかもあります。その他、思春期のもやもややら、空想やら、感傷やら。まあ、いろいろ入り混じって私の部分を形成していることは確かです。そこで、こうして文章化して向き合ってみようかと思いたった次第であります。長くなりそうなので何回かに分けます。


サイケデリック・ロックにはもともと、1950年代のビート族、シュルレアリスム実存主義インド音楽を含めた東洋思想などの流れがあります。1960年代半ば、それらがサンフランシスコなどの都市において、平和、自由な愛、非物質主義を標榜したカウンター・カルチャー(対抗文化)として発現してきて、「ヒッピー」や「フラワー・チルドレン」などの若者の集団が生まれました。彼らは1966年末まで合法的だったLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド。通称アシッド)のような気分転換のためのサイケデリック・ドラッグを日常的に使っていました。ドラッグの効果は「時間を超越する感覚」「肉体的・視覚的敏感さの増大」「夢見ごこちな連想」などの幻覚です。彼らが好んだ音楽がサイケデリック・ロック(アシッド・ロック)で、ミュージシャンたちは、このドラッグの効果を音楽で再現しようとしたのです。


けっこうしんどいんで今日はこのへんで(笑)。次回からおなじみの名前が登場します。ジェファーソン・エアプレイン、ドアーズ、ジミ・ヘンドリックスビートルズなど。


参考文献

ロック・ミュージックの歴史[上]

ロック・ミュージックの歴史[上]

なんとアメリカの大学で講義されているロック・ミュージックのテキスト。よって内容は文字ばかりです(笑)。文庫サイズの音楽入門書。けっこう重宝してます。